障害者派遣の現場の実態と運用~派遣会社の営業マンが解説

れいか
障害者雇用促進法が平成27年4月から改正になりましたね。実はいとこが障害を抱えていて、私も含めて親戚たちが障害者派遣について調べているんです。現場の実態なんかを教えていただけませんか?
酒井先生
わかりました。ただ私も障害者派遣については過去1人しか派遣したことがありません。障害者派遣に特化した派遣会社も増えてきましたが、それにも裏があるようで、まだまだ問題が山積しています。そんな裏話なども含めて解説していきます。

※この記事では全て「障害」と表記しています。

障害者派遣の現場の実態と運用

shogaishahaken

最近になって各派遣会社とも障害者派遣のシステムを積極的に導入するようになり、障害者でも活躍の場が大きく広がっていきました。しかし、職場で周囲の健常者と業務上必須のコミュニケーションやプライベート面での配慮など、まだまだ障害者やその周囲で見守り・監督する人間に対してのケアが行き届いていない現実が存在しています。

その理由としては、障害者が派遣される職場においての周囲の人間の理解不足、そしてもう一つが障害者自身の職場における対処能力やスキル不足というものが挙げられます。

派遣される障害者との人間関係

私が実際に派遣した派遣社員の話です。障害者である彼女をとある施設の清掃要員として派遣しました。高校を卒業したばかりの若い子で、障害のレベルとしては軽度のものでコミュニケーションは取れる、むしろ好んでコミュニケーションを図りにいく子でした。

施設では掃除しかしてはいけない、他の業務はしてはいけない、という条件の派遣でしたが、それを彼女に理解させるのに企業は苦労している様子でした。仕事を任せてもここができていない、二度手間になる、清掃以外のことをしようとするなど、人を雇うことが会社にとってボランティアになっていないか?この雇用が本当に利益に結びついているのか?と疑念を抱く社員が増えてしまい、人間関係がうまくいっていないことがありました。

「会社」がなぜ存在するのか?利益獲得に必要なことは何か?という視点で「雇用」というものを見たとき、障害者を雇用することが法律うんぬんではなく果たして必要なのか疑問に感じる社員は少なからず存在します。その中で人間関係を維持するのは本当に難しい問題です。

派遣される障害者のスキルの見極め

障害者派遣において業務上問題となりやすいのは、障害者自身のスキルの問題です。

派遣会社内で障害者専用の様々なトレーニング制度を設け、一般の職場で働くのに最低限の能力を身に着ける場の提供を行ったり、個々の障害者が能力や得意分野を最大限活かせるような派遣先の紹介など、派遣会社は試行錯誤しています。しかし、実際のところ障害者というのは「働かせてみないと分からない」ことが多く、派遣する側・される側に大きなリスクを伴います。

障害者派遣の条件

「障害者」と一言でいっても、精神的な障害なのか、肉体的な障害なのか、またその程度も様々です。障害者派遣を活用できる最低限の条件としては、障害者手帳を持っていることが前提になります。

正確には、障害者手帳を既に持っている、または障害者手帳を申請中であるということです。障害者の方が障害者派遣サイトに登録するメリットとしては、自分でなかなか見つけることのできない障害者を受け入れてくれる就業先を手早く見つけることが出来るという点です。

障害者を受け入れることが出来るという会社は社内・オフィスのバリアフリー化が進んでいたり、障害者でも行える仕事が既にマニュアルで決められていることもあり、障害者が入職をしても、すぐに働き始めることが可能な環境が整っています。サイトを利用すると、障害者が疑問に思う移動や仕事能力など、様々な情報を詳しく聞くことが出来るので、障害者派遣サイトを利用するメリットがあります。

特化型派遣紹介サイトのデメリット
派遣業界は全業体の中でも群を抜いて会社や事業所数が多い、少し特殊(異質)な業界です。会社を立ち上げるのに特別な資格が不要なため、新規参入会社が多いのです。従って、何かにつけて各社がオリジナリティを演出しているため、そのオリジナリティが本物であるか不明な会社がポツポツ存在します。数ある派遣会社から選んでもらうために各社必死なのです。つまり「障害者派遣に強い会社です!」と謳った会社が、本当に障害者派遣に特化した会社であるかは分かりません。むしろ昔から存在する大手のテンプスタッフリクルートスタッフィングの方が、「障害者派遣専門」と謳っていなくても抱えている案件が多かったりします。

障害者派遣の問題は解消されつつある

shogaishahaken2

企業では障害者雇用促進法によって、障害者手帳を取得した社員を50人に1人の割合で雇用することが義務になっています。また、平成27年4月からは障害者雇用納付金制度の対象となる企業が拡大され、障害者の雇用率基準を満たしていない場合に支払う違反金義務の対象が、200名から100名を超える企業へと変更されています。

このような状況になっている中、全国の民間企業の半数以上が基準を満たすことが出来ておらず障害者派遣が注目を浴びています。そのため障害者雇用を専門としていたり、専門の担当者を置いている派遣会社も生まれており、そのような派遣会社では専門的な知識を有したキャリアカウンセラーが相談に乗ってくれる他、登録会場でも障害に合わせて手話などといった細やかな配慮がされています。

また、障害者の派遣労働では派遣先の企業の理解が重要となることから、具体的な仕事内容に関して「できること・できないこと」といった細かな確認が必要となります。このような点においても障害者を専門とした派遣会社では、労働者と企業の間に入り様々な調整を行ってくれます。

「問題が多い」という問題が浮き彫りになっているため、着々と企業に対する取り組みや整備も進んでいます。それに併せる形で派遣会社も先回りして対策を取っています。ただ、今ははっきり言って障害者派遣専門の派遣会社で突出した会社はありません。やはりいざ就業するとなると、福利厚生やサポート面が気になると思います。そうした点はどうしても企業規模・財力がある会社に絞られるため、現状は大手の派遣会社で相談に乗ってもらった方が、派遣される障害者の方も安心であると思います。

目的から派遣会社を探す