派遣切りとは?雇止め・不当解雇・契約解除の意味と違い

みなみ
派遣社員の「派遣切り」ってどのような状況になることを言うんですか?実際に働いていて、世間で騒がれているほどその実感がないのですが。
酒井先生
派遣切り」とは、派遣先の一方的な理由で契約が切られることを言います。「雇止め」や「不当解雇」もそれに該当します。昔は派遣切りがかなり問題になりましたが、契約社会の日本において、「不当な派遣切り」はかなり減少しました。
れいか
「次回からは更新しない」という話をよく聞きますが、これは派遣切りではないのですか?
酒井先生
それも派遣切りの一種ですが、対象になるかどうかはその実態を判断しないとなんとも言えません。また派遣切りとは異なりますが、派遣社員自ら契約を打ち切る「契約解除」という言葉も覚えておきましょう。それぞれ意味が全く異なるので詳しく解説していきますね。

雇止めや不当解雇は派遣先都合、契約解除は自己都合

派遣切りと呼ばれているものには、雇止め不当解雇があります。派遣社員の場合、派遣先都合で切られることになりますが、その派遣切りについて訴える場合は雇用主である派遣会社に責任があります。

雇止めや不当解雇も契約を切られることには違いありませんが、その状況と告げられるタイミングが全く異なります。基本的に会社都合になるものは派遣切りの中でも不当解雇のみです。また派遣切り以外に、自己都合で契約を打ち切る契約解除もあります。

雇止め 合理的な理由で行われる解雇・派遣切り
不当解雇 非合理的な理由で行われる解雇・派遣切り
契約解除 一方的な自己都合の契約解除(※派遣切りではない

【雇止め】合理的な理由で行われる解雇・派遣切り

雇止めは遅くても契約期間終了の30日前までに告げられる解雇予告のことを言います。有期契約労働者全てに該当する解雇予告です。契約書の「更新の有無」にたとえ「有」と記載されていても、毎回更新されるかは派遣先や労働者の状況に判断されます。

この雇止めがあることから、世間から「有期労働者は安定しない」と思われています。

みなみ
合理的な理由があっても、派遣社員をいきなり切るのはひど過ぎですよ。慰謝料とかを請求できないんですか?
酒井先生
雇止めの対象の場合、「合理的な理由」があれば解雇予告を契約期間終了の30日前に告げているので法律に違反しているわけではありません。そのため残念ながら慰謝料を請求することはできません。

雇止めの対象となる方

  1. 有期労働契約が3回以上更新されている場合
  2. 1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、 最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
  3. 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

厚生労働省

上記のように雇止めの対象となる方が定められています。たとえこれに該当しない方でも、契約期間満了で切られるケースはよくあります。この定めはあくまで、長い期間(1年以上)その会社に貢献した方に対する救済策であり、1年未満の就労期間の方は信用の観点から救済措置が定められません。

雇止めには「契約期間満了」以外の理由が必要

対象となる方から雇止め理由を聞かれた際には、使用者である派遣会社は「契約期間満了」以外の理由を明示して証明書を交付しないといけません。そしてその理由が不当な場合は、雇止めの効力が無くなり、今まで通り就労することができます。その判例や傾向は厚生労働省の資料にまとめられていますので必ず目を通しておきましょう。

雇止めが認められる事案 雇止めが認められない事案
・業務内容が臨時的であった
・担当していた業務が終了・中止した
・派遣社員を雇う経済的余裕がなくなった
・同様の地位にある労働者について過去に雇止め事例が多い
・契約当事者が期間満了によって契約が終了することを認識している
・業務内容が恒常的かつ更新手続が形式的
・雇用継続を期待させる使用者の言動が頻繁にあった
・同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどない

雇止めは自己都合退職に扱われる

雇止めは派遣切りに該当するものですが、その退職理由は会社都合ではなく自己都合として扱われます。解雇予告を行っているため、本人が合意した上での退職となるからです。

自己都合退職でも失業保険の扱いは特別受給資格者と同じ

失業保険の支給条件は離職日前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることです。しかし有期労働者が雇止めに遭ったときは例外となり、離職日前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上でも支給可となります。

また有期労働者が契約を切られる場合、自己都合退職で扱われようとも失業保険の支給される条件は会社都合の方と同じなのです。

れいか
退職者が会社都合にしたい理由には失業保険が関わってくるんですね。でもなんで雇止めだと失業保険の扱いが会社都合と同じなんですか?
酒井先生
会社都合で辞めさせられた方を特別受給資格者と言い、雇止めにあった方を特定理由離職者と言います。特定理由離職者は「働きたいのに働けない状態になった方」を指します。この場合、自己都合でも不本意な理由(雇止め)で離職することになっているので、失業保険の扱いは会社都合の方と同じになるのです。

【不当解雇】非合理的な理由で行われる解雇・派遣切り

不当解雇は解雇予告もなく、いきなり契約を打ち切られるときのことを言います。不当解雇の場合、派遣先都合でも派遣会社側が責任を負うことになります。そのためどんな理由があろうとも契約更新について、派遣会社は派遣先から30日前までに返事を貰い、派遣社員に告げなければなりません。

実際この「不当解雇」に当たる派遣切りは、最近ではほとんど見られません。これをやってしまった(起こしてしまった)派遣会社は一発アウト、つまり社会的に派遣業務を再開することが非常に難しくなります。繰り返しになりますが、派遣会社が不当解雇の責任を負わなければいけないため、「これだけは避けたい」と常に考えています。そのために派遣先の与信管理などに力を入れ、派遣社員にとってリスクが起こらないよう努めているのです。

不当解雇を訴えた場合に貰える金額は?

不当解雇された派遣社員は契約期間満了日まで貰えるはずだった金額の全てが支給されます。正社員の場合とは違い派遣社員には契約期間があるため、それ以上の金額を貰うことはできません。

またこの場合は雇用主である派遣会社から支給されます。

【契約解除】一方的な自己都合であれば契約期間中でも可能

契約解除は派遣社員の自己都合で契約を打ち切ることを言います。「仕事が合わない」「職場環境が悪い」など様々な理由で辞める方で、自己都合で辞めるときのタイミングは自由です。

そのため契約期間が残っていても、辞めることは可能です。また働いた分までの給料は分単位で支給されます。

契約解除するときの注意点

  • 派遣会社のブラックリストに載る可能性大
    契約期間中に辞めてしまうと派遣先に迷惑がかかり、そのしわ寄せが派遣会社にやってきます。そのため契約期間中に辞めると、たとえ1回だけでもブラックリストに載る可能性が高まり、その後の仕事紹介に支障を来します。
  • 失業保険が支給されないこともある
    特別理由離職者にもならない自己都合退職のため、雇用保険に加入している期間が通算して1年未満だと失業保険も支給されません。

派遣切りに遭わないためには派遣会社選びが最も重要

派遣切りの理由に当たる雇止めや不当解雇に遭うかどうかは派遣会社選びに左右されています。契約解除のように一方的な自己都合ではない限り、欠勤や遅刻などを除けば大半の理由が派遣会社にあるのです。

不当解雇の項でも解説しましたが、どんな派遣先都合の理由でも、その見極め・審査が前もってできなかった派遣会社に問題・責任があります。中でも派遣先の業績に関わることは派遣する前の与信管理で分かる情報です。そういったことを曖昧にしているのが中小派遣会社の現状です。中小は大手のようにブランド力がないため、どんな企業からも派遣依頼を受けてしまっており、派遣切りを行うような派遣先に当たってしまうのです。

大手派遣会社はブランド力が強く、常に多くの企業から派遣を頼まれる側にいます。そのため派遣先を選ぶ・審査する余裕ができ、派遣社員にとって自信を持って紹介できる優良企業かどうかの見極めを行うことができるのです。

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