派遣先の特定行為はどこまで許す?制度廃止の動きも

みなみ
派遣先へ職場見学に行ったところ、筆記試験があったり、面接みたいに担当者から個人情報やこれまでの経歴を色々聞かれました。派遣先ではこうした選考はないと聞いていたのに…。
れいか
派遣先における特定行為は派遣法で禁止されているはずよ。平気でルールを破るような派遣先で働くのはちょっと危険なんじゃないかしら。
酒井先生
派遣スタッフの個人情報を特定するための行為は派遣法第26条第7項の禁止事項です。しかし現場においては極自然に特定行為と思われることが行われています。「派遣」とは簡単に言うと、労働力のレンタルなので、それを利用する派遣先が知る必要のない情報について詮索してはならないのです。ただ実態面では非常に不都合が多く、「特定行為を認めるべき」と最近動きが見られます。これはまだ案段階なので、ひとまずどういったことが該当するのか以下で確認していきましょう。

派遣で特定行為が禁止されている理由

特定行為とは、例えば派遣先で事前面接履歴書の提出年齢や性別の制限などが行われた経験がある場合、まさにその代表的な事例です。

派遣先は「派遣社員」という派遣会社が提供する労働力・人工をレンタルしているにすぎないため、基本的に指揮命令・指導のみを行う存在でなければなりません。候補者に対して職業能力(スキル)を問うこと、個人情報に関する内容を提示させ、労働者を選定することを禁止しています。

具体的な禁止理由は主に以下の2つ。

  1. 労働者供給事業に該当してしまう
    特定行為が行われて採用が決まると、派遣先と派遣社員との間で雇用関係が成立されてしまいます。これは労働者派遣事業とは異なり、派遣会社からの労働者供給事業となり、職業安定法第44条に違反します。
  2. 派遣社員の就業機会の阻害、個人情報の保護に関わる
    派遣の選考において、派遣社員を平等に判断するために派遣先への個人情報開示を派遣法で禁止しています。

特定行為の事例

職場見学で適性検査や筆記試験を行うことは派遣先における選考とみなされます。しかし全てを制限してしまうと派遣会社にとってもサービスの差別化が図れませんし、それを利用する派遣先にとっても不都合が多く派遣を利用するメリットがなくなってしまいます。そうした理由から「特定行為は限定的にでも認めるべきでは」と規制緩和を求める派遣先の声が多いのも実情です。

ここではその規制が緩まったとしても守るべき内容について、また今それを行えば一発アウトな事例を紹介します。

個人情報に関する質問

  • 住所
  • 家族構成
  • 家族の職業
  • 学歴
  • 前職の退職理由
  • 結婚の有無
  • 出産予定
  • 宗教・信仰

こういった派遣社員のプライバシーに関する内容は特定行為に該当します。規制が緩まったとしても、家族構成や家族の職業、結婚、出産、宗教など業務に全く関係の無い、またスキルを判断する上で適切ではない内容は禁止です。

派遣会社の営業担当を同席させてくれない

職場見学は派遣先・派遣会社・派遣社員との三者で行うものとなっています。ただ派遣社員が希望したときのみ、派遣会社の営業担当を同席させないようにすることは可能で、派遣先側からそれを希望することはできません。営業担当は派遣先が特定行為をしていないか監視する役目もあります。

派遣スタッフに対し、合否を派遣先が直接伝える

「合否を直接伝える」ということは、派遣先があなたの選考を行っていた裏付けになります。また仮に採用・合格だとしても、その後の引き抜き・勧誘・派遣会社の変更などを促される可能性も考えられます。派遣社員と派遣先との間で雇用関係を結ぼうとしているわけではないため、必ず派遣会社に対し合否を伝える必要があります。

紹介予定派遣は特定行為の例外
紹介予定派遣は直接雇用前提かつそのための届出を行っているため、派遣の選考でも面接や職務経歴書の提出、筆記試験などの特定行為が認められています。派遣会社の同席を派遣先が断ることも可能です。

妥協も必要…?度が過ぎる特定行為は労働局に相談

派遣先が派遣法や職業安定法に違反した際には、双方が厚生労働省により罰則を受けることになっています。また慣習的に特定行為が蔓延している実情から、派遣会社に相談したとしても「こういうこともあるよ」とうやむやにされる恐れがあります。

かつ法改正の見込みがあることや、派遣先と派遣会社の培ってきた関係性もあります。あなた自身も「名前は絶対言わない!」「経験は一切話さない!」と何かを隠さなければいけないほどのことはないはずです。余程のことがない限り(むしろ関係性を良好にするために)、特定行為はある程度認めるべきではという声について私も同感です。

しかし、先程の実例のように度が過ぎる特定行為の場合、それを許すわけにはいきません。こうなってしまうと派遣先はおろか派遣会社も使い物にならないため、労働局に相談することをおすすめします。こうした特定行為を行っているのは求人数の少ない中小派遣会社に多い傾向があります。派遣先に主導権を握られてしまい、派遣社員を守ることができなくなっているのです。

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