



時給の相場はマージン率で決められている
派遣料金の相場は厚生労働省によって平均額が割り出されています。厚生労働省のデータでは日額(8時間労働)の金額として出ていますので、8時間で割れば時給が割り出されます。
また、マージン率については派遣法上、HPまたは事業所で提示することが義務付けられています。
マージン率の計算方法
マージン率は次の計算方法によって導き出されます。

派遣会社のマージン率の相場は25~35%、マージンを公開している会社の平均は26.8%でした。
その間に収まるように派遣会社は派遣先に交渉します。多くの派遣会社は派遣社員に支払う時給を考えながら派遣先の商談を行い、派遣料金を決めていきます。
派遣会社は派遣先とも派遣社員とも板挟みの関係なので、基本的に利益の大幅な搾取は困難です。依頼された案件で人を集めるためには無理のない派遣料金と時給を設定しないと事業が成り立たないからです。
これが例えば大手の派遣会社であればブランド力を利用して強気な交渉ができる場合もありますが、中小派遣会社であると自社の実質的な利益として残る金額はほぼゼロに近い形でマージン設定を行っています。
大手派遣会社のマージン率一覧
- リクルートスタッフィング:27.8%
- パソナ:29.7%
- マンパワーグループ:28.3%
- テンプスタッフ:23.6%
- テクノプロ:37.9%
このように人材派遣会社それぞれでマージン率は大きく異なります。
傾向としてIT系は派遣会社の取り分が大きく、サービス業や事務は派遣会社の取り分が少ないです。
マージン率を公開していない企業も一部ありますが、ブラックである可能性が高いので回避するようにしましょう。
マージン率を公開しているという意味でも大手はある程度信頼することができるでしょう。
高いマージン率(取り分)だからといってピンハネ会社とは限らない
マージンが高いからといって、派遣会社の利益だけを考えた悪い会社だと思う方もいますが、そうとは限りません。傾向として、大手であればマージン率は高く設定されています。その理由は以下のとおりです。
- 派遣社員の福利厚生の充実
社会保険はもちろんのこと、キャリアアップ支援やベビーシッター割引といった心身の充実を目的とした福利厚生を目的に、マージン率を引き上げています。 - 派遣社員の教育訓練費用
派遣会社はマージンで会社を運営しています。そこで生まれる利益は更なるサービス向上のために、OAスキル研修・資格講習といった派遣スタッフの教育費として使われています。 - 有給消化の費用
6ヶ月を超える長期の派遣になると、派遣社員も有給休暇を取得できます。しかし、その場合にかかる費用は派遣先でなく派遣会社から支払われます。マージンの中からその費用は計算されています。 - 求人広告費
自社内で登録する派遣スタッフを集めることできれば問題ありませんが、更に多くの派遣スタッフを抱えていくためには広告媒体を使って人を集める必要があります。この求人費もマージンから支払われています。
つまり、高いマージンを取っている会社だから悪い派遣会社、マージンが低いから良い派遣会社、とは判断ができないのです。
マージンが低ければ会社としての首を締めるだけで、さらに提供されるサービスの質も劣悪なものとなります。時給やマージンだけで派遣会社の良し悪しを判断するのは賢いやり方ではありません。派遣会社の選別時にもっと見るべきポイントがあるのでそちらを確認しましょう。
労働者派遣においてピンハネは不可能
また、法的な側面で言うと「労働者派遣」という雇用形態でピンハネ(中間搾取)は不可能です。
労働者派遣は、派遣会社と派遣社員との間の労働契約関係及び派遣先と派遣社員との間の指揮命令関係を合わせた三者全体で労働関係を構成するものであり、第三者がここに介入し利益を搾取することはできず、労働基準法6条に規定する「中間搾取」には該当しません。
また実態面からも、誰か一人が(又は三者以外のだれかが)利益を独り占めすることができないのがこの派遣の特徴でもあります。
に派遣会社は派遣社員によって支えられており、派遣社員を絞ったところで何も見返りがないのです(すぐ辞めてしまうし派遣会社はたくさんあるので)。かつ派遣会社にお金が残らないとその存続が危ぶまれ、派遣社員に給料を支払うことができなくなるケースもあります。
そのため、派遣社員・派遣会社・派遣先、以上の三者が対等で全員が利益を得る形にしないと歯車がうまく回りません。マージン率という側面だけでそれを分析するのは非常に難しいですし、派遣社員の方が思っているほど、派遣会社のマージン率があなたを苦しめたりするものではないはずです。