

派遣会社に複数登録しても仕事が決まりやすくなるわけではない
派遣の仕事は求人サイトからエントリー後、派遣会社内における社内選考を経て、更に派遣先による選考が行われます。そして派遣先選考もクリアすると、ようやく職場見学や面談にこじつけます。

派遣登録に来る人は「すぐに希望の仕事が見つかる」と思っている方もいますが、これは大きな間違い。派遣会社は多くの求人を持っていますが、登録者の希望を100%叶えることは中々できません。自分の希望通りに合う仕事は見つかりにくく、またそれが見つかったとしても採用倍率が高い状況となります。
そして、派遣会社の数を増やして仮に社内選考に通りやすくなっても、どうせ派遣先選考で競合するので「仕事が決まりやすくなる」わけではないのです。ここを勘違いしている方が多すぎます。「社内選考に通ること」が目標ではないので、無意味に派遣会社を複数登録すべきではありません。
仕事が決まらない人がやるべきことは「希望条件の見直し」。大手企業、残業なし、高時給・・・そんな魅力あふれる仕事にはエントリー希望者が殺到するに決まっています。派遣は基本的に「選考」が禁止されているのですが、人気の案件や、お得意様への派遣(大企業)となると、派遣会社も自信を持って送ることができる人材を選考します。
希望条件を見直し、自分のスキルを見直す
あれこれと条件を狭めていくと求人数は少なくなり自分の思い通りの求人は見つかりません。求人探しは家探しと似ており、何かを妥協する必要があります。具体的には次の項目を見直してみましょう。
時給を見直す
時給を100円下げるだけで案件は100件増えます。時給の相場勘を掴む上でも、初心者の方は時給フィルターにチェックを入れないことをおすすめします。
また時給を100円下げたとしても、例えば交通費が自己負担なのか会社から支給されるのかで、場合によっては下げた時給の方が手取りが多くなることもあります。交通費が自己負担の場合、それを所得控除できないため単純なあなたの出費となります。
所得税:10%
出勤:200日(1年間)
労働時間:1500時間
交通費(往復):500円
- 時給2000円(交通費自己負担)の案件で働き続けたケース
2000円×1500時間=300万円(所得)
300万円×10%=30万円(所得税)
500円×200日=10万円(交通費:自己負担)
300万-30万-10万=260万円(手取り)- 時給1950円(交通費会社負担)の案件で働き続けたケース
1950円×1500時間=292.5万円(所得)
292.5万円×10%=29.2万円(所得税)
500円×200日=10万円(交通費:会社負担)
292.5万-29.2万=263.2万円(手取り)
「残業なし」にチェックを入れない
「残業なし」の求人項目にチェックを入れたくなる気持ちは分かりますが、ここはあえてチェックを外してみてください。残業を完全になしにして募集することは派遣先企業にとってリスクが非常に高いため、ほとんどの企業がこの項目を除外しています。実際の職場では残業がほとんどないところも、月1~5時間程度の残業を見込んで除外しているところも多いのです。
むしろ「月5~10時間程の残業」と記載されている方がより現実的で献身的な求人です。就業時間が少し過ぎてしまうことをきちんと「残業」と捉えている証拠です。
またあなた自身も仕事が楽しくなれば、責任ある仕事を任されるかもしれません。残業を必ずしも否定的に捉え無いほうがあなたのためになります。
勤務地は駅ではなく「通勤時間」で選ぶ
「東京駅・新宿駅・渋谷駅」といったオフィス街は確かに人気も高く求人も多いです。アクセスがしやすいため、多方面から求職者が集まり採用倍率も上がります。
しかし就業することを考えるとあなた自身の「通勤時間」を考えて案件を探す方が実は穴場の案件が見つかったりします。家から近い駅全てにチェック入れておきましょう。
誰もが憧れるオフィス街より、自宅周辺の駅で探した方が視野も広がり交通費も安く済みます。ベットタウンの駅でも、派遣を必要とする会社はあります。実はこうした都心近郊の求人にレア案件が隠れていることが多いのです。
「未経験」なら時給よりも学べる経験で仕事を選ぶ
「未経験OK」の仕事で高時給の仕事はほとんどありませんし、そうした企業は大企業が中心。また、時給が高い仕事に応募しても社会人経験者と比較されることが多く仕事内容がハードになることが多いのです。未経験者に必要なことは「経験」です。キャリアアップできる仕事場で経験を積んで次の派遣時に備えます。まずは第一歩目として、どこかしらに派遣されることだけを考えるべきです。
長期・短期に関わらず、初回更新はほぼ間違いなく1ヶ月なので、仮に仕事が合わないとしてもそこであなたからお断りすればよいだけです。そこで経験さえ積めば「経験者」になることができるのです。
職種を変えてみる
「自分のやりたい仕事」を諦めて、「自分に合う仕事」を担当者やコーディネーターと考えて探してみましょう。派遣会社に登録して全くの別職種で活躍する人も多く、「やりたい仕事=自分に合っている仕事」とは限らないのです。
第三者(派遣会社のコーディネーター)からの意見で新しい派遣先の視野を広げられるかもしれません。意外と食わず嫌いで手を出せずにいた仕事が、天職であることもあります。
仕事が見つからない他の理由
派遣会社の求人が少ない
自分が登録した派遣会社を見直して下さい。中小の派遣会社は全国に何万とありますが派遣会社の規模だけを見ても正確な求人数はわかりません。登録して条件を下げても中々仕事が見つからないときは派遣会社を変える必要があります。
例えば派遣会社最大手のテンプスタッフは、初心者向けの案件を常時3万件以上、かつ全職種をカバーしています(これはテンプスタッフのみ)。初心者の方はなぜか大手の派遣会社に登録することを「ハードルが高い」と勘違いしているのですが、むしろ中小派遣会社の方が経験者向きでレベルが高いのです。
営業担当の質が低い
求人が多くても派遣先の情報(仕事内容や職場環境など)が曖昧なことは致命的です。営業担当のヒアリング不足が問題で、派遣先の求める人をしっかりと理解できていないことが理由です。何度も職場見学に行って派遣先が見つからない場合、その営業担当を疑うことが必要です。
良い派遣会社は求人に困らない
求人を多く抱える派遣会社で困ることは自分の条件が増えてくることです。贅沢な悩みですが、大手派遣会社ではよくあります。派遣の募集時給の平均が年々上がっているように企業からの需要が増えています。その中で「仕事が見つからない」と思う人には何か原因があります。その原因を解決することも派遣会社の仕事です。