【無期雇用派遣】実は危険な働き方…メリット・デメリットを解説

みなみ
派遣社員って全部「期間の定め」があるんだよね。良い派遣先なら派遣としてずっと働いていたいけど、そんな都合のいい働き方なんてないよね。
れいか
求人サイトで無期雇用派遣って募集があったわよ。私も詳しいことはよく分からないけど、派遣みたいな雇用形態でずっと働き続けられる新しい制度みたいなの。なんか怪しいけど応募してみたらどう?
みなみ
ムキコヨウハケン…?それって正社員と変わらないってことですか?紹介予定派遣とはまた違うんでしょうか。
酒井先生
テンプスタッフやスタッフサービス、マイナビワークスなど大手派遣会社が新しく始めた派遣制度です。やることは派遣と全く同じですが、そこの派遣会社の社員として雇用されるためイメージとしては正社員の扱いになります(紹介予定派遣とは異なる)。これだけ聞くと「そんな簡単に正社員になれるの?」と誤解を招いてしまいそうですが、正式に言うと正社員ではありません。従って「無期雇用派遣社員」とここでは表記して解説していきますが、実態は正社員と何ら変わりません。ただ、無期雇用派遣については注意しなければならないことがたくさんあるので、これから話す内容は必ず確認するようにして下さい。

無期雇用派遣・常用型派遣とは

無期雇用派遣とは、「無期雇用派遣社員として」テンプスタッフないしスタッフサービスなどの派遣会社に入社し、派遣社員の頃と同様に派遣先の派遣就業をするという新しい働き方です。若い世代の事務キャリア形成を支援することが目的です。

簡単に言うと、「派遣社員の立場で雇用されるものの、給料・就業先が安定して供給される派遣形態」です。派遣と正社員の性質を組み合わせた制度であり最近注目が集まっています。派遣会社の正社員として「入社」するイメージなので期間の定めが無くなるという特徴もあります。

無期雇用派遣を行っている派遣会社

  • テンプスタッフ
  • スタッフサービス(ミラエール
  • リクルートスタッフィング(キャリアウィンク
  • アデコ(キャリアシード
  • マイナビワークス(マイナビキャリレーション
  • エボルバビジネスサポート(キャリアキャンパス
  • ジョブコム 他

無期雇用派遣は法律違反にはならないの?

結論から言うと、無期雇用派遣は法律違反にはなりません。

派遣法では「雇用安定措置制度」が設けられており、長期で働く派遣社員に対しては「派遣先に直接雇用を促す」又は「自社で無期雇用として働かせる」ことで、派遣社員を守らなければいけません。テンプスタッフを始めとする無期雇用派遣制度は後者の性質を上手く利用し、自社で「無期雇用派遣社員」として採用し、自社の社員として派遣先に就業させる方法を採用しています。

よって、馴染みのある派遣会社の「派遣登録」ではなく、就職活動のような「選考・採用」という形を取って自社の人材採用活動(面接や書類選考)を行っています。常用型派遣においてはこのような「選考」は派遣法により禁止されていますが、無期雇用派遣についてはそれが可能となっています。

つまり私たち(無期雇用派遣を目指す方)にとっては、派遣と違って学歴や職歴、資格など、厳しい基準で見られることになります。ただ派遣会社にとっても、正社員(無期雇用派遣社員)を抱えるということは大きなリスクを取らなければいけないため、無料で人を集める派遣登録と違って重みがあるはずです。

無期雇用派遣のメリット

無期雇用派遣社員になると、安定収入を得ることができます。やることは派遣と全く一緒なのに、正社員と同じような待遇を受けられるのが、この無期雇用派遣の最大の魅力です。派遣先においても派遣会社が厳選した案件が中心になるため、仕事のやりがいや自身の充実、安定した雇用・収入を手に入れることができます。具体的には次のようなメリットを受けることができます。

①時給制から月給制に変更

派遣社員は時給で給与が支払われていましたが、無期雇用派遣では派遣会社の社員として雇われるため給与が月給になります。各社の募集要項を見ると、月給20~22万円が平均となっています。また労働を提供していなくてもお給料が貰える可能性があります。「派遣社員」としての性質が強いため、紹介される案件が無ければ(景気動向などにより)働いていないのにお給料が貰えることも起こり得ます。

②福利厚生の対象になる

無期雇用派遣社員になると、正社員と同様に各社が設けている福利厚生の恩恵を受けることができます。賞与・交通費・フィットネスクラブ割引・ベビーシッター割引サービスといった、派遣社員としては通常付与されないことが多い会社独自の福利厚生も受けることが出来ます。

③家から近い勤務先で働ける

例えばと某派遣会社の無期雇用派遣の場合、「自宅最寄り駅から90分以内」の就業先を探してくれるため、引っ越しの必要がありません。通常のサラリーマン、OLであれば本社又は最寄りの支社に出勤しなければいけませんが、実際の仕事内容は派遣と同じなのでここは融通が効いていますね。

④交通費が支給される

派遣社員も交通費が支給されるケースはありますが、多くの場合「給与込み」になっています。これの何が問題なのかというと、給与込みになっていることで交通費が課税対象になってしまい、多くの税金が取られてしまうのです(交通費を含めた時給であるが故に収入が多いように見えてしまう為)。しかし無期雇用派遣の場合、正社員と同様に給与とは別の形で交通費が支給されるため課税の対象になりません。

⑤各種研修制度完備

各社オリジナリティあふれる研修制度を用意しています。「派遣」という特徴上、派遣社員の継続的なスキルアップを図らせることは派遣会社の宿命です。事務に必要なパソコンスキルやTOEIC、各種資格への割引や無料研修制度が用意されています。派遣社員には通常与えられない有料の外部資格講座を無料で受けられたり、無期雇用派遣にはかなり研修制度に力を入れているようです。

無期雇用派遣のデメリット

酒井先生
メリットだけを見ると非常に魅力的に見えるのが無期雇用派遣です。ただ、派遣の専門家から見えればそれは当たり前です。なぜなら無期雇用派遣は派遣社員の目線に立って作られたものではなく、派遣会社に都合の良いように作られた制度だからです。「メリット」として上記のようにまとめてはいるものの、よく見れば労働者として与えられるべき当然の権利とも言えます。また無期雇用派遣には危険な闇が潜んでおり、ここが今回の話で最も伝えたかった内容になります。

①選考・採用試験がある

通常の選考のように、エントリー後書類選考があります。

パソコン・携帯からの応募となっており、「氏名」「生年月日」「メールアドレス」「性別」「電話番号」「卒業区分」「職務内容」等々を記入します。書類が通過すれば、面接→最終選考→本採用といった形となり就業が開始されます。採用基準は派遣登録の選考のように甘くなく、社会人経験が無い方は選考から弾かれます。

無期雇用派遣の目的は決してフリーターやニートを救済するものではなく、派遣会社自身が優秀な派遣スタッフを囲い込むことです。

また月給制の無期雇用派遣社員を雇うことで会社にとっても「固定費」が生まれ、簡単に契約を解除することができなくなります。普通の派遣登録であれば、正直のところ登録をしてもらっても就業を中々開始しない人や、一回だけ派遣で働いてその後音沙汰なしといった方が半分以上います。そもそも「働く」ということに積極的ではない人が多いため、そういった人たち(実績があるとは言えない人たち)を月給制の無期雇用派遣社員として雇うというのは確かにリスクを伴います。

②給与が定められている(中々給料が上がらない)

月給として給与が決められているため、どんな仕事内容であっても決められた給与の中で働かなければいけません。自分の希望通りの時給で仕事ができるわけではありませんし、派遣としてのメリット・恩恵を受けられません。

派遣の最大のメリットは、時給が階段形式にドンドン経験さえ積めば(積んでしまえば)自動で上がることでした。しかし正社員として雇われ、月収になってしまえば給与は中々上がらなくなります。世間のOL、女性社員が日頃嘆いている内容を尻目に、派遣社員の方々はどんどん時給を上げていたのに、今度はそちら側になってしまうということです。

しかし、ミラエールに関してはクラス評価制度で毎年昇給のチャンスがあるため、むしろ正社員より昇給の可能性が高いと見ています。実力を正当に評価し給与で的確に囲い込む施策を行っている派遣会社もあります。こうすることで他の派遣会社の無期雇用派遣社員としての流出を防ぐこともでき、これは労働者にとっても派遣会社にとっても良い循環になるはずです。無期雇用派遣に関しては、「どこも同じだろう」安易に思わず正しく派遣会社の選別も行わないと、自分が損してしまうこともあります。

③無期雇用のため就業し続ける必要がある

登録型派遣社員とは異なり、派遣期間終了後の長期的な休みなどはありません。基本的には週5日以上の勤務が必須となり、働き方としては派遣社員とは真逆、つまり正社員と一緒の勤務形態です。

無期雇用として働いているため、派遣先企業が変わってもそこにすぐ順応し、働き続けなければいけません。「人間関係が…」「仕事が合わなくて…」といったわがままは誰も聞いてくれません。月給制で給料を貰っている以上与えられた現場で我慢して働き続けなければいけません。

登録型派遣であれば私たちは派遣会社から「お客様」のように扱われることが多かったと思いますが、この無期雇用派遣であれば、完全に派遣会社の駒となるので時には担当営業マンから厳しいことを言われたり、我慢して耐えなければいけないことも多いと思います。

④職場を転々とする可能性がある

無期雇用派遣社員は月給制のため、例えば仕事が替わるタイミングの空白の時間(次の派遣先が決まるまでの時間)何もする仕事がなくてもお給料が貰えてしまいます。

しかしそんなことは派遣会社も重々理解しているため、その空白の時間(待機時間)を減らすため、無理矢理にでも新しい仕事を持ってきたり、つなぎの業務を用意してきます。こちらは安定した給料を「貰ってしまっている」ため、派遣会社にとって使い勝手の良い存在になってしまいます。すると職場を転々とする機会も必然的に増え、コミュニケーションの面や精神的なストレスは蓄積されていくことが懸念されます。

「期間の定めが無くなる」ことはもちろん無期雇用派遣の特徴ですが、そもそもその「期間の定め」以上同じ職場で働くケースはマレだということです。

⑤派遣社員としてのメリットがなくなる

「正社員を知らない方」からすると無期雇用派遣は確かに魅力的に映りますが、「正社員を知っている方」からすれば、以上に挙げさせていただいたメリットはメリットでもなんでもなく当然の「権利」です。

都合のいいところだけ派遣の性質を持たせて、いいように社員を使い回す制度。正社員でも派遣社員でもない「中途半端な雇用形態」と言っても間違いではありません。

無期雇用派遣を目指すなら自分で就職活動した方がいい

ol

無期雇用派遣は確かに給与の安定を望むことができますが、派遣の最大のメリットである「自由」を失うことになります。

それでいて、就業先では「派遣社員」として扱われるためジェラシーを感じることも多いと思います。無期雇用派遣社員は、月給として安定した収入を得たい人には良いように思いますが、それならば正社員として転職を考えた方がかなり現実的ではないかと思います。

安定給、社会的地位を望むならやはり正社員が最強ですから。

派遣のように大きく稼ぐこともできませんし、時間を自由に使うこともできません。「無期雇用派遣」という働き方があることだけ知っておき、選択肢として頭に入れておく程度で構わないでしょう。

また「派遣社員」か「無期雇用派遣」かという2つで揺れている方は、間違いなく「派遣社員」として働くべきです。

派遣社員は最初の更新が2ヶ月です。もし自分に合わないというのであれば2ヶ月でやめればいいだけです。しかし「無期雇用派遣が合わなかった」となると、それを「やっぱり辞めたい」と簡単に破棄することはできません。

仮に無期雇用派遣社員として働き始めれば、派遣社員の中でもエリートであるため鼻高々かもしれませんが、派遣先の社員の方から見たらあなたは「派遣社員」であることにかわりありません。つまり自分がどの立場なのかも分かりづらく、ただストレスを抱えるだけなのでは、と私は危惧しています。

見栄・社会的地位が欲しいのか、安定給が欲しいのか、時間が欲しいのか、自由に働きたいのか。そのどれも無期雇用派遣では中途半端になってしまいます。

ここにまとめたことは私が派遣の営業で働いている中で得た経験や、派遣社員として登録されてきた方々の特徴や性格を考えて記載しています。また無期雇用派遣自体が最近始まった制度なので、今後はまた整備が進んでいくと思いますが、未整備で問題も多い今、無期雇用派遣として働き始め職歴を傷付けてしまうのは、少しもったいないような気がします。

初心者におすすめの派遣会社 強み・特徴

テンプスタッフ
福利厚生が充実
・業界最大手
・未経験可案件が豊富